CAMPsについて
CAMPsは、精神疾患の親をもつ子ども達を支援する団体です。
CAMPs
Children And Young People with Mentally ill Parents
CAMPsの語源
カタカナにするとキャンプス。キャンプの語源は、ラテン語で「平らな場所」、「広場」という意味があります。
その意味から、大学の「キャンパス」といった使われ方がされています 1)。
精神疾患の親をもつ子ども達や人々が集い、知恵を出し合う場、一息つける場になればいいなという願いをこめてつけました。
精神疾患の親をもつ子ども達の現状
ヤングケアラーのなかで、精神疾患の親をもつ子ども達の6割以上は、親の病気について十分な説明を受けておらず、わけのわからぬまま親の症状に巻き込まれ、不安な思いを誰にも相談できずに生活しています 2)。
私たちは、2013年にこうした子どもや家族への支援が進んでいるドイツを訪問しました。そこで、精神科をはじめ関係機関に子ども向けパンフレットが置いてあり、精神疾患の患者に子どもがいた場合、子どもにパンフレットや絵本などをつかって疾患の説明がされていること、子どもの困りごとや家族支援のしくみがあることを知りました。また、学校教員や専門職向けの啓発、学校のなかで精神疾患に関する教育も行われています。
パンフレットの制作背景
ドイツのパンフレットの元祖は、オランダで発行されました。ドイツでは、国の状況や年代に合わせて3種類の情報誌が作成され、Webでも閲覧できるようになっています。
日本でも、うつ病等の精神疾患患者が増加する中、子どもにも疾患の説明や助けになる情報を届けたいという願いからCAMPsパンフレットとWebサイトを作成しました。内容は、日本の子ども達へのインタビューから明らかになった子ども達にとって支えになったこと 3)をベースにしています。
CAMPsの情報は、日本で初めて精神疾患の親をもつ子どもの集いを開催した「親&子どものサポートを考える会」の代表や、京家連の「精神に『障害』がある親をもつ子どもの集い」の支援者など、10年以上こうした子ども達の相談や支援を担ってきたメンバーが中心となり作成しました。
同じく精神疾患の親をもつ子どもの集まり「COCOTELI」、「こどもぴあ」、「ひとりやないで!」、ヤングケアラー支援に尽力されている「ふうせんの会」、「YCARP」の皆さんにもご協力いただき、今回あらためて30人以上の子ども達の声をきき、内容の検討を重ねました。
制作にあたり、精神疾患の親をもつ子ども向けの絵本の出版や情報発信を続けている「ぷるすあるは」、さらに八木スタジオ、ゴトウデザイン、佛教大学の皆さんにも多大な協力を得ました。この場で、あらためてご協力くださったみなさんに感謝申し上げます。
精神疾患の親をもつ子ども達の声をもとに、様々な団体や個人がつながり、知恵を出し合いながら、精神疾患の親をもつ子ども、さらに親や家族が自分のことも大切にできるCAMPsがつくれたらと思います。
CAMPs代表
田野中 恭子
1) 日本キャンプ協会
https://camping.or.jp/learn-camping/camp
(2023年6月24日検索)
2) 田野中恭子(2019),精神疾患の親をもつ子どもの困難、日本公衆衛生看護学会誌,8,23-32.
3) Tanonaka K.,Endo Y.(2021) Helpful resources recognized by adult children of parents with a mental illeness in Japan, Japan Journal of Nursing Science.
メンバー
代表
田野中 恭子 Kyoko Tanonaka
佛教大学保健医療技術学部看護学科 准教授
保健師・看護師
京都産業大学外国語学部ドイツ語学科卒業。ベネッセコーポレーションに勤務後、看護師、保健師になり、病院勤務。その後大学教員になり、本業に従事するかたわら精神障害者の家族、特に子どもに関する研究・支援を行う。京家連(きょうかれん・公益社団法人京都精神保健福祉推進家族会連合会)にて精神に「障害」のある親をもつ子どもへの個別相談を行う他、家族セミナーや学校教員対象の研修等を担当。精神疾患の親をもつ子どもに関して、ドイツでの実践活動を紹介しつつ、国内で研究・支援を行っている。
著書:『統合失調症療養者の子をもつ親の体験』西村ユミ・榊原哲也編/ケアの実践とは何か(ナカニシヤ出版 2017)」
訳書:『悲しいけど、青空の日』著者 シュリン・ホーマイヤー(サウザンブックス 2020)
悲しいけど、青空の日 – THOUSANDS OF BOOKS
「悲しいけど、青空の日」(YouTube)
監修:『親の精神疾患とともに生きる子どものレジリエンスを高めるために』著書 アルベルト・レンツ 訳 宮崎直美(かもがわ出版 2024)
親の精神疾患とともに生きる子どものレジリエンスを高めるために – かもがわ出版
論文:「精神疾患の親をもつ子どもへの支援-ドイツの子ども支援と日本への応用に向けて」(2019)、「精神疾患の親をもつ子どもの困難」(2019)、「Helpful resources recognized by adult children of parents」(2021)、他
NPO法人ぷるすあるは製作の動画「親が精神障害 子どもはどうしてんの?」に参加
佐藤 純 Atsushi Sato
京都ノートルダム女子大学
現代人間学部生活環境学科 教授
精神保健福祉士・社会福祉士・臨床心理士
専門は精神障害者の家族支援。本人も大切、だけど家族も大切という家族まるごと支援の重要性について研究している。関西大学大学院文学研究科教育心理学専攻修了後、1988年に京都府に入職。保健所、精神保健福祉センターの勤務を経て、2006年より京都ノートルダム女子大学に勤務。精神保健福祉士の養成に携わる。公益社団法人京都精神保健福祉推進家族会連合会において個別相談とともに、精神に「障害」のある親を持つ子どもの集い、きょうだいの集い、配偶者の集いの進行役も務めている。また家族まるごと支援の技術であるイギリスのメリデン版訪問家族支援の技術の普及を担う一般社団法人ジャパンファミリーワークプロジェクトの代表理事も務める。
土田 幸子 Sachiko Tsuchida
鈴鹿医療科学大学看護学部看護学科 准教授
看護師
親&子どものサポートを考える会代表
看護学校卒業後、看護師として三重県立小児心療センターあすなろ学園に約15年勤務。その後、看護専門学校の専任教員を経て、2001年から三重大学・鈴鹿医療科学大学で精神看護学担当教員として学生指導・教育に携わる。臨床経験や学生との関わりから「精神的に不安定な保護者のもとで育つ子ども」への支援の必要性を感じ、2009年に「親&子どものサポートを考える会」を設立。精神に障害のある親の元で育つ子どもの支援を行うと共に、支援の必要性を伝える活動を行っている。親&子どものサポートを考える会の活動に対しては、『第6回 健康寿命をのばそう!アワード〈母子保健分野〉』厚生労働大臣最優秀賞を受賞。また、子どもの生活状況や心理社会的発達に与える影響をまとめたポスターがTransgenerational Mental Health & Fifth International Conference on Families and Children with Parental Mental Health ChallengesでBest Poster Award(1st prize)を受賞。
緒方 靖恵 Yasue Ogata
佛教大学保健医療技術学部看護学科 助教
保健師・看護師
千葉大学看護学部卒業後、岡山市に保健師として入職。退職後、専業主婦期間を経て再び保健師として母子保健に従事し、精神疾患を持つ保護者の支援を行ってきた。その後、大阪市立大学大学院看護学研究科に入学とともに、大学教員として教育に携わるようになる。2020年~現職である佛教大学保健医療技術学部看護学科公衆衛生看護学助教として、保健師養成に携わりつつ、経済困難を抱える家庭の子どもへの支援についての研究に取り組んでいる。